連載 ナイチンゲール―在宅医療へのまなざし・12【最終回】
21世紀にむけての在宅介護
小川 典子
1
1北里大学看護学部
pp.970-971
発行日 1999年12月10日
Published Date 1999/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900948
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全国の各地域で介護保険の認定調査が始まっている.私の属する介護支援事業所でも市からの委託を受けて,介護認定調査依頼が連日押し寄せている.依頼が来てから1週間以内にそれぞれを訪問調査しに行き,報告書を書かなければならない.しかも,活動範囲が近隣の市へと次第に広がってきた.私も毎日飛び回っているような状態で,何が何やら収拾がつかなくなってしまいそうな日々を自転車操業でこなしている.ケアマネジャーはやっぱり不足していたんだという現実を,改めて実感している.
実際に訪問してみて聞いたのが,これまでは安い料金で市からのサービスを受けていたが,障害自体はそれほどでもないので,今までどおりのサービスが受けられるかどうか心配だという高齢者たちの不安の声.逆に,福祉に頼らずに貧しいながらも年金をやりくりして長年介護してきたのだから,サービスはいらないので保険料もなしにしてほしい,保険料に加えて,サービスの自己負担金まではとても払えないという訴えもよく聞く.また,長期入院を理由に病院を追われ,呼吸器をつけたまま酸素を吸入し,チューブだらけの状態の人もいる.こういう場合は,病院の病室がそのまま家庭に移されたような感じだ.家族は疲れ切り,訪問看護も介護も短時間で帰ってしまうし,土日祝日や夜間は来てくれないと嘆き,呼吸器を付けているので停電になったときが一番心配だと不安を訴える.
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