特集1 リスクマネジメント
医療事故を他領域から考察する
芳賀 繁
1
,
松野 良一
2,3
,
大内 正俊
4
,
武井 勲
5
1立教大学文学部心理学科
2TBSマルチメディアセンター
3ハーバード大学医療倫理講座
4東芝アドバンストシステム株式会社解析技術部
5青山学院大学経営学部
pp.847-853
発行日 1999年11月10日
Published Date 1999/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900924
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人間工学から見た医療事故
はじめに
人間工学は,人の寸法・動き・認知・行動の特性を研究して,システム(機械・環境・作業およびそれらの組み合わせ)のデザインに応用し,効率性・快適性・安全性の向上をめざす技術および学問である.医療事故の原因となるヒューマンエラーについては,人間の特性とシステムとの整合性を改善することが「人間工学的アプローチ」となろう.
医療現場の作業環境は,少なくとも空調・照明・騒音の面では他産業と比較して悪くない.作業姿勢,作業負担,作業体制,シフト,作業手順などには問題点がたくさんあるように思われるが,ここでは,機械システムとそれを使用する人間の認知・行動特性との整合性,すなわち「ユーザ・インターフェイス」の問題に的を絞りたい.ヒューマンエラーとの関連で重要な設計原則を解説するので,読者の職場には下記の原則に反するものはないか,あるとしたらどのように改善したらよいかを考えてほしい.
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