医学の話題
自動車事故と人間,他
P
pp.44-45
発行日 1957年9月15日
Published Date 1957/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910425
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昨日は交通事故で何人死んで,何人怪我をしたと,交番の前に掲示されたりして,交通事故は我々現代に生活するものにとつてひとごとではなくなつて来た。この方面の先輩のアメリカの統計を見ると,生まれてから35歳になるまでの死亡率の最高は事故死であつて,その1/3は交通事故である。予防医学や治療・診断学がすゝんで人間の死亡率がいくら下つて来ても,若い人達の間の死亡が最も多く事故によつて起るとなつては,医学にたずさわる入も黙つていることは出来なくなつた。アメリカではこれからの15年間に今いる10人の中,1人は交通事故で死ぬ計算になる。ハイウエイで起る事故につていは医学の疫学のいろいろな法則があてはまるという。疫学では,環境を函数として,病原体と宿主の作用によつて起る病気をあつかうわけであるが,自動車箏故ではやはり環境を函数として,自動車と運転者との作用を見るわけである。自動車事故の80%以上は運転者の失敗に基因するという。カナダの学者は察故を起した運転者と起さない運転者を沢山しらべて次の法則をだした。人間は,生活して行くのと同じように運転すると。個入的,社会的要求に自分を調整掛きぬ入は,危つかしい運転者というべきであろう。
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