連載 三治郎の世界・4
ウイーン世紀末
南川 三治郎
pp.249
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900800
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私がウィーンの世紀末に惹かれたのは1985年の春のことであった.それまで何回かウィーンに行ったことはあったが,この年にキュンストラー・ハウスで催されていた「夢と現実―ウィーン1870-1930年」展を見た瞬間,その爛熟した百花繚乱のウィーン世紀末芸術の虜になってしまった。
「マーラーはウィーン・オペラの黄金期を指揮し,シェーン・ベルクは現代音楽に決定的な影響を与えつつあった.絵画ではクリムトやシーレが反伝統ののろしをあげた.近代建築の祖ヴァーグナーは都市改造に着手し,フロイトは『夢判断』を著した.さらに工芸,ファッション界におびただしい才能の華が開いた」と展覧会は謳っていた.
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