映画紹介
ウイーンの別離
pp.47-48
発行日 1954年9月10日
Published Date 1954/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200804
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独仏共同製作による空前の大作であるこの映画は,作曲家リストと薄幸美貌のカロリーヌとの波爛と障害にみちた悲恋の物語り……
金満家の娘カロリーヌは,莫大な持参金と交換に16才でヴイツトゲンシユテイン公爵と愛のない結婚をした.憎悪に充ちた6年間のこの生活はカロリーヌの青春を冷く氷らせてしまつた.ある日,キエフの市でカロリーヌが美術品を値切つていると,突然横合いから途方もない値でそれを買取つて行つた男……彼が音楽家のリストであるとき,彼女は内心敵意に燃えてリストの音楽会へ出かけて行つた.一方リストはほんの束の間仰ぎ見たカロリーヌの美しさに烈しく心打たれ,キエフの市で買つた品を彼女に贈つた,カロリーヌは夫の不在を利用して,リストをボロニンスの領地に招いた.カロリーヌには愛のない生活に対する自暴自棄な反抗の姿があつた.しかし自然の野とリストの真実の愛情は,彼女の魅力を開花させ,そこに夢のような愛の時が明暮れした.老公爵の突然の帰邸によつてこの幸福は忽ち崩れ,彼女は結婚の解消を迫るが,財産目当の老公爵は離婚をうけつけない.そこで彼女は,皇妹サクス・ド・ワイルマール大公妃マリー・ボーロヴナにすがり,離婚の勅許を嘆願した.マリーの助力でリストはワイルマール劇場の指揮者に任命される.彼女はこの吉報をリストにむけて馬車をいそがせる.折しもハンガリーに革命が勃発し疾走する馬車,追手の発砲,追いつ追われつ彼女は国境を突破し,自由に湧立つ村人とともにいるリストに会う.
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