特集 抑制をしない看護
抑制は職員と看護管理者の姿勢次第
矢田 チヱ子
1
,
戸矢 篤子
1
,
中島 房枝
1
,
松本 成江
2
1世田谷区立特別養護老人ホーム「芦花ホーム」看護係
2世田谷区立特別養護老人ホーム「芦花ホーム」介護係
pp.541-545
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900521
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はじめに
抑制は,あまりにも人権を無視した行為であり,いかなる状況にあっても医療側の立場のみを優先してはならない.しかし現実には,生命の安全や急性期の治療を優先して,時として抑制という手段をとらざるを得ないという声があとを絶たない.抑制も時には必要であり,安全のためにはやむ得ないのではないかというものである.
そうした声を聞くたびに,筆者らは,医療施設や福祉施設などで働く職員が,人権と抑制に対する確固たる理念をもちあわせていないのではないかと疑問をもつ.そのために現場では,何の疑問ももたずに,抑制が安易に行なわれているのではないかということ,そして抑制はなくならないのではないかと考えてしまう.しかし,人権意識の高揚は,医療界でも同様であり,当然の如く抑制はその議論の対象となっている.こうしたことから,医療施設,福祉施設での抑制廃止の動きが強まってきていることは確かだろう.
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