特集 看護部がつくる病棟の環境
建築家が看護部に求めるもの
田辺 峰雄
1
1共同建築設計事務所
pp.249-252
発行日 1996年4月10日
Published Date 1996/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900476
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立場の違い
わが国の医療もやっと量的整備の時代から,質的整備をする時代へと移行しようとしている.地域医療計画により,病床は地域ごとに数をそろえるのではなく,地域の医療需要に対して,どのような機能的な役割を担うかという質が問われている.一方,病院の中では,療養環境加算の認定により,質の充実が診療報酬の面でも認められる時代になった.このような時に,患者の療養環境について,総合的に考える意義は大きい.
病院の看護に携わっている職員と,われわれ病院の設計に携わる者との違いは,患者への関わり方の差であろう.看護職員は毎日,直接患者に接しているし,われわれは直接的な接触はない.したがって,療養環境の改善に関わる患者の意向は,文献などによる知見,看護部の職員との打ち合わせ,時に,設計に先だって,病院の計画的問題点を探るために行なう調査などしか知る方法はない.このような間接的な接点しかもたない設計者ではあるが,計画,設計,インテリアと,まさに療養環境の改善のために仕事をしている者として,このテーマについて日頃感じていることを述べてみたい.
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