特集 本誌発刊15周年記念
病院界15年の歩み
病院建築
吉武 泰水
1
1東京大学
pp.46-49
発行日 1964年6月1日
Published Date 1964/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202364
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病院建築のこの15年の歩みをふりかえってみると,あまりに思い出が多く,何を書いてよいか戸まどうばかりである。ことにおつきあいした方々の顔や言葉がめまぐるしく浮んでは消え,とてもすじ道だった回顧になりそうもない。あらためて,よくも私どものような専門外の者を相手にして下さったものだという感謝の気持と,こういう方々に接し得たよろこびがしん底からわいてくる。
私の15年は,木造総合病院のモデルプランの設計からはじまった。まだ煖房の回復していない大学の片隅で守屋・小沢・吉田その他の諸先生と小林・田口両氏をまじえて,看護単位の確立・給食の重視・手術の中央化などについて何度もおそくまで話し合い,郭君と約半年を費して図面にまとめた。成熟したアメリカの病院管理は,わが国の現実への適合に不安感をいだく余ゆうもないほど立派におもえたし,何よりその歯切れのよさが魅力であった。そのうえ,設計以前に管理方式の検討決定が先行することは,設計のすすめ方としても理想に近い試みであったから,この仕事は楽しかった。いまその図面をとり出してみても,新鮮さを失なっていないようにおもわれる。
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