特集 日本看護政策研究会第3回フォーラム―「効果的な看護システムの創造―看護システムと経済」
病棟をつくる―トータルケアへのアプローチ
粟屋 典子
1
1虎の門病院看護部
pp.137-141
発行日 1994年3月30日
Published Date 1994/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900238
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はじめに
近年,病院では医学の発展に伴って,ますます細分化された診療科に対応することが求められている.従来から,医師はそれぞれの専門領域に関係した患者の診療に専念し,必要があれば他の専門医に協診を依頼するという形であった.しかし,専門分化が進むにつれ,守備領域が狭くなるとともに,それぞれの領域の専門性が高まっているため,1人の患者に複数の専門医が関わるケースが増加している.また,国民の医学的知識も増してきており,適正な診療を受けることへの要求が高くなっている.
病院はこうした状況を十分認識した上で,患者にとって最も安全で,効果的な,しかも経済性を踏まえた病棟づくりをしなければならない.すなわち,従来の内科病棟,外科病棟という考え方からの脱却を余儀なくされてきている.このような病棟づくりには,どのような疾病の種類かにかかわらず,公正な立場であらゆる患者に関心を持ち,適切に対応することが求められている.そのために看護部門の果たす役割が大きいと考える.
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