特別記事
開発途上国に対する保健医療協力の歴史的考察―主要先進国,WHOおよび日本のアルマアタ宣言前後を比較して
平岡 敬子
1
1広島大学医学部保健学科健康科学・基礎看護学講座
pp.79-91
発行日 1994年3月15日
Published Date 1994/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900234
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はじめに
1992年,日本のODA(政府開発援助)の実績額は,2年連続米国を上回り,113億3,000万ドル(1兆2,463億円,概算レート・1ドル110円)で世界第1であった.そのうちの2~3%が保健医療分野の協力に費やされているので,日本は開発途上国の保健医療の向上に対し,約3億ドルの貢献をしたことになり,この額は世界全体の保健医療協力費の約1割に相当する.
しかし,日本の保健医療協力は病院建設や医療機器の供与等,いわゆる「ハコモノ」中心で,地域住民の健康レベルの向上に貢献する専門家の派遣や,医療従事者の養成等の人的貢献が少ないとしばしば批判されている.この批判の要因を探る1つの方法として,保健医療協力を歴史的に考察するが,そのことによって現在のような実態となった背景が見えてくるのではないかと考える.
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