対話による看護経済学のススメ・8
市民に理解できる看護の研究を
西村 周三
1
,
川島 みどり
2
1京都大学経済学部
2健和会臨床看護学研究所
pp.191-197
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900102
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川島 今までお話を伺ってきて,看護の経済的評価の困難さということを改めて感じますが,一方今これだけ看護婦の不足問題が焦点となっているだけに「看護婦の労働をどのように経済的に評価するか」ということや「看護には何ができます」ということを人々の前に明らかにしていくのに,今をおいてないとも思います.
しかし看護の経済的評価を考えていく際,最も困難な点は「どこまでを純粋に看護の成果とみなしたらいいのか」という点がひとつと,たとえばリハビリのようにADLの評価,つまり目に見えて手が動くようになったとか座れるようになったとか,歩くようになったという評価でなくて,看護の場合には目に見えないもの,たとえば精神的な満足感とか,あるいは苦痛の緩和とか,特にターミナルな患者や難病で治る可能性のない患者のプロセスをどう幸せに過ごさせるかというところが問題になるわけで,それをどう評価するのか,難しいということだと思います.
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