特集 がん対策・1
市民活動によるがん対策の推進―市民グループ「イデアフォー」の活動
中澤 幾子
1
1イデアフォー
pp.40-42
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100318
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市民グループ「イデアフォー」とは
1989年の日本では,乳がんは乳房を全部切る手術がほとんどでした.乳房の一部だけを切除する「乳房温存療法」の実施率は5%ほどでしかなく,その情報も本当に少なかったのです.そんな状況の中,情報を集め,納得した上で,自分で温存療法を選択した患者が中心となって発足したのが「イデアフォー」です.
その頃すでに欧米では標準治療として確立されていた「乳房温存療法」が,日本では患者に知らされることがほとんどありませんでした.乳房を残しても生存率が切除の場合と変わらないという情報があれば,より小さく切って後遺症も少ない方法を選ぶ患者はもっともっと多かったのではないでしょうか.複数の治療法を示すことなく,一方的に医師が治療法を決めるのは当たり前と,患者側も思わされていたのです.
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