特集 物品管理を見直す
新しい物品管理の流れ
中野 明
1
1京都女子大学
pp.154-159
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900096
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はじめに
病院関係者の中でも,それぞれの立場によって,「看護業務の中に物品管理は含まれるか?」という質問に対する答えは違っている.わが国の多くの病院では,現在看護婦が分担している業務は,欧米のそれと異なって,本来他職種で分担すべき業務をも含み多岐に渡っている.最近では看護婦の成り手が減少し,近い将来には,看護婦不足で閉鎖に追い込まれる病院が出るだろうとも云われている.にもかかわらず,その実際の業務内容が,何時までも,病院内の他のどの職種よりも専門性が明確でないのは何故なのであろうか.医療の高度化によって,より多くの,より熟練した看護婦が必要であるにも拘らず,現状は,搬送業務の負担は若干軽減されてきているとはいえ,まだまだ本来の業務に専念できる状況とは云い難い.特に末端での物品管理関連業務に至っては,ほんの一部の病院を除き,看護婦が分担しているのが現状であろう.
これにはわが国特有の歴史性もあるだろうが,筆者は,周りの病院関係者の無関心さとエゴチズムに原因があるのではと考えている.その結果,あらゆる業務のしわ寄せが看護婦に集中しているのではないだろうか.周りが,自分達の業務範囲を広げる努力をしない限り,今の状況はいつまで経っても解消されないであろう.
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