連載 ラーニング・エイド 大学院ドタバタ留学記 in NY・20
守って看護師,マイクロアグレッションとは
寺本 美欧
1
1米国コロンビア大学教育大学院 修士課程
pp.431
発行日 2021年5月10日
Published Date 2021/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201861
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2020年に,アフリカ系アメリカ人を中心に,黒人に対する人種差別撤廃を訴える大規模なブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter)運動が起こり,2021年はストップ・アジアン・ヘイト(Stop Asian Hate)も拡大した。アメリカでは新型コロナウイルス感染症を機にアジア系アメリカ人へのヘイトクライム(増悪犯罪)が深刻化している。3月18日に起こった,アジア系を含む8人が亡くなったアトランタの銃撃事件はアメリカ中を震撼させた。在ニューヨーク日本国総領事館からは毎日のように注意喚起のメールが届き,日本人が地下鉄で受けた嫌がらせや犯罪などを目にする度に心が痛み,人種差別問題が人ごとではないと感じる。
人種差別問題は社会全体の問題として捉えられる傾向にあるが,実は「悪気のない無意識の差別」も存在する。今期履修している「グループダイナミクス」という授業で,日常にごくありふれた無意識下の差別的な行為を意味する「マイクロアグレッション(microaggression)」について習った。直訳すると「小さな攻撃」であり,あまりにも日常に溶け込みすぎて小さくて見えないという意味合いだ。
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