連載 ラーニング・エイド 大学院ドタバタ留学記 in NY・15
表現せよ看護師,経験をアートに込めて
寺本 美欧
1
1米国コロンビア大学教育大学院 修士課程
pp.1105
発行日 2020年12月10日
Published Date 2020/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201742
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「自分が現在抱えている問題を絵に描く」「コロナ禍の自分の思いを映画に例える」「うれしかった出来事を表す詩を選ぶ」。驚くことに,大学院の授業ではこのような課題が課される。あれ? 私は芸術専攻だったかな,と首をかしげつつも,課題に一度取り組み始めると,普段使わない脳の領域がビリビリと活性化するような感覚を味わう。
社会科学者のジョン・ヘロン氏は,人間が経験から知覚する「感情」に着眼し,「経験学習では,言葉よりも経験を通じた思いや想像力によって意味付けを行うことができる」と主張する1)。つまり「悲しい」「うれしい」という言葉よりも,同じ情景や空気感を感じることで,まるで疑似体験をしたかのように経験の意味付けを共有することができるのだ。そして,その手段の1つにアートが用いられる。大学院の課題も,アートと感情を結び付けることで経験の意味付けを行うという意図があった。
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