特集 不明熱診療最前線―基本アプローチから「横綱級」困難症例まで―
【診断困難な「横綱級不明熱」へのアプローチ】
診断困難な「横綱級不明熱」診療における基本原則
西垂水 和隆
1
1今村病院分院救急総合内科
キーワード:
不明熱のパターン診断
,
偽の手がかり
,
医療不信
,
経験的治療
Keyword:
不明熱のパターン診断
,
偽の手がかり
,
医療不信
,
経験的治療
pp.486-490
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102878
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Case
横綱級不明熱の1例
症例:10年前に上咽頭リンパ腫で放射線治療歴,40年前に肺結核治療歴のある70代女性.
臨床経過:発熱と頭痛,体重減少があり,抗菌薬で1カ月間加療されるも改善なく,紹介受診.赤沈130mmで各種検査を行い,側頭動脈生検陰性,血管炎としてステロイド開始するも無効.CTにて脾臓内腫瘤影,喀痰にて非結核性抗酸菌,PETにて篩骨洞への取り込みあり.耳鼻科よりリンパ腫再燃疑い,放射線科からは真菌性副鼻腔炎に特異的とのコメント.アスペルギルス抗原陽性.副鼻腔生検を行うも慢性副鼻腔炎のみ.大学病院耳鼻科から抗真菌薬をとのコメントで試すも無効.アスペルギルス抗原は偽陽性と判明.骨髄生検3回,ランダム皮膚生検ともに陰性.非結核性抗酸菌の治療も無効.この間4カ月間発熱が持続し,全身状態が次第に悪化して亡くなられた.剖検なく,結局,原因不明.
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