特集 近代化,プロ化をめざして
群馬の保健婦の一つのあゆみ
わたしのあゆみ
保健所業務の変遷のなかに漂いながら
横尾 光子
1
1群馬県高崎保健所
pp.87-90
発行日 1973年2月10日
Published Date 1973/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205219
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昭和21年4月30日。それは私が保健所保健婦としてスタートした日である。群馬は私にとって本籍地であるが,父母が住んでいること以外には知遇のない土地であった。免許申請をした警察で勧められて,世のなかが落ち着くまでの職場としてなんの信念ももたずに軽い気持の就職であった。
後でわかったことだが,当時群馬には2か所の保健所しかなく,終戦とともに各地区に保健所を設置することになり,いっせいに予算化され設立準備に取り組んでいたときであった。私の保健所もその一つで,絹市場跡を買収しただけのまだ準備事務所で所長以下5名の職員。忙しげに関係機関と連絡をとる幹部を見ながら,掃除とお茶入れのほかにはなにもすることがなくて途方にくれた私に「あせらないで,いまに目が回るほど忙しくなる」と声がかかったのを覚えている。
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