連載 看護管理者としてよりよく生きるために 倫理課題とどう向き合うか・5
「役割を生きる」①
勝原 裕美子
1
1聖隷浜松病院
pp.832-837
発行日 2015年9月10日
Published Date 2015/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200279
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管理者を任命する立場になってつくづく思うのだが,管理者になるというのは,覚悟のいることだ。この人ぞと思う人に,「あなたに看護課長になってほしい」とか「看護部次長をお願いしたい」という昇格人事の話をすると,多くの場合,“認められた嬉しさ”を“務まるだろうかという不安”が覆い隠していくのが見て取れる。
そんな“不安”を“自らが成長する機会”と捉え直し,覚悟を持って役割を引き受けた後は,それを遂行すべく誰もが学び始める。先輩管理者から学び,失敗から学び,研修で学び,管理者らしくなっていく。やがて自分と“管理者”の一体感(管理者としてのアイデンティティ)を持つようになり,管理業務をこなすようになる。しかし,組織管理者として倫理課題を検討する時には,自分が異なるアイデンティティの集合体であることに,敢えて向き合わなければならず,自分はどれを大事にして倫理課題に向き合うべきかに戸惑うことがある。
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