特集1 看護学生の論文
入選エッセイ・論文の発表
論文部門
幻聴とともに生きている患者への関わりと看護―幻聴の役割とその存在意味に着目して
谷輪 咲
1,2
1四日市市立四日市高等看護学院(投稿当時)
2三重大学医学部附属病院(肝臓消化器・呼吸器内科)
pp.692-695
発行日 2007年8月25日
Published Date 2007/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100738
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はじめに
統合失調症の発症率は約0.8%と比較的頻度の高い病気であり,症状の一つである幻聴はシュナイダーが定める重要な一級症状として挙げられているが,その症状の背景にある心理状態と幻聴の関連性や病因・病態についての研究は少なく,未だ解明はされていない。
患者は33歳で発症以来約39年間持続的に幻聴が出現しており,幻声を聞き分け各々をキャラクター化して終日それらと対話している状態にあった。しかし,場所や時を選ばず持続的に聞こえてくる幻聴にストレスを感じ,大声で叫び抵抗する様子もしばしば見受けられたため,精神的苦痛の排除を中心とした援助が必要とされた。このことより,幻聴発生と患者の心理状態に注目して,ストレス環境を改善し,幻聴との関係性を修復する必要性のある患者への看護のあり方を考察したので,ここに報告する。
なお,本文は個人が特定されないように配慮した。
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