特別記事 東日本大震災における企業の活躍
―①株式会社アールエフ―「災害に強いクリニック」とわれわれの役割
五十嵐 康仁
1
1株式会社アールエフ 国内営業部
pp.230
発行日 2012年3月10日
Published Date 2012/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102372
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支援展開の迅速さを支えた企業としての柔軟性
当社は医療機器の開発・製造・販売を行なう開発型メーカーです。現在主軸となっているのはデジタルレントゲンセンサーNAOMI。その他,インフォームドコンセント用の各種医科用カメラや歯科向けの口腔内カメラを手がけています。すべての製品に共通するのは,ユーザーが地域に根ざした中小医療機関であること。震災時にも,こうした中小医療機関向けに支援活動を行ないました。計画停電の翌週には蓄電池ユニットを開発し,4月に納品を開始。大規模病院では非常時の電源システムが整っているでしょうが,中小医療機関では十分とはいえません。計画停電地域以外からも多くの問い合わせがありました。被災地医療支援のために提供した移動診療車(写真)も,4月には被災地で運用されました。津波により流された医療機関もあると考えられたので,移動可能で自家発電装置を備えた診療車の設計を,震災の翌週には始めました。
また地震発生直後から仙台市に「医院修復お手伝いセンター」を開設し,当社のスタッフを送り込み,医療現場のサポートを開始。機材の貸出しはもちろんのこと,被災した医院の片づけまで,当社製品のユーザーであるかどうかに関係なく実施してきました。すべての対応は,当社の現場スタッフから送られてくるリアルな情報をもとに,すぐに方針を決定し,対応しました。企業というものは,基本的に計画的に物事を進めていくことに重きをおきますが,当社は,もともとユーザーの要望に対して常に柔軟に対応することに重きをおいてきましたから,今回のような事態にあっても,違和感なく即座に対応ができたと思っています。
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