連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・103
子どもの豊かな感性に目を
柳田 邦男
pp.1184-1185
発行日 2014年12月10日
Published Date 2014/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200065
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取材やいろいろな活動の支援や講演などで,私は年に70〜80か所くらい地方に出かける。そうすると,この国の人々の生身の姿や,暮らしの状況,幼い子どもたちの成育状況などが見えてくるので,貴重な学びになる。
最近出かけた先の1つは,福島県南部の矢祭町だ。東北新幹線の新白河駅から車で東へ1時間余り,低い山並みにはさまれた農地の広がる地域で,人口はわずか6000人余り。10年ほど前に,「こんな田舎でも大人も子どもも読書で心を豊かにしたいが,町の財政が厳しいので,図書館がない。家庭の中に要らなくなった本があったら寄付してください」と,ネットで全国に発信したところ,なんと45万冊も集まってしまった。そこで町では武道館の内装を変えて,本棚を整え,「矢祭もったいない図書館」と名づけた。
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