連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・207
木々の言葉に耳を傾ける感性を
柳田 邦男
pp.86-87
発行日 2024年1月10日
Published Date 2024/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686202580
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神社やお寺の境内に入ると,樹齢300年とか700年という古木に出会うことが珍しくない。何と長い年月にわたり時代と人間の生きざまを見つめてきたことか。
それでも,木は何も語らないし,歌も歌わない。だが,木は本当に何も語らないのだろうか。それは人間の言葉を話さないだけで,実は“樹木語”とでも言うべき言葉によって,木同士は語り合っているのではないだろうか。いや,木同士だけではない。人間に対しても,様々なことを語りかけているに違いない。人間のなかの感性の鋭い人たち,特に俳人や詩人は,木々の言葉を聞き取っているのだ。一句を紹介したい。
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