連載 看護事故の舞台裏・3
褥瘡の責任を問われるとき
長野 展久
1
1東京海上日動メディカルサービス医療本部
pp.296-299
発行日 2014年3月10日
Published Date 2014/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686103034
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今から約30年前,新聞に「褥瘡は看護怠慢」というセンセーショナルな見出しが駆けめぐりました1)。ある市立病院に高血圧性脳出血で入院していた患者さんが「不公平な扱い」を受けて死亡したということで裁判となり,その争点のひとつが「ひどい褥瘡を生じていたこと」だったからです。
第1審の地方裁判所では「褥瘡発生を予防することは不可能ではなく適切な看護により防止が可能であったことは十分推察できる」ものの,「患者の病状,栄養状態,年齢を勘案すると褥瘡発生の要因はかなり多く,悪条件を備えていたことがうかがわれるので,褥瘡予防のために必要な看護レベルは相当高度なものであると推測できる」ということで市立病院側が勝訴しました。もちろん,できる限り褥瘡ができないような病棟管理が望ましいとはいえますが,理由はともかく「褥瘡=医療ミス」と言われてしまうのは大問題なので,病院側は第1審の判決に胸をなで下ろしたことと思います。
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