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はじめに
目標管理とは,組織目標と個人目標を統合し,個人の自主性を重視しながら組織目標を達成するマネジメントの手法であり,職員一人ひとりが組織目標とリンクさせた目標を決め達成していくことによって,組織の活性化・向上を図ることができる1)。1950(昭和25)年に経営学者のドラッカーによって紹介されて以来,企業の経営マネジメントに取り入れられ,現在では病院機能評価項目にもあるように,病院組織運営においても目標管理の必要性が高まり導入されるようになってきた。
当院看護部でも数年前から年度初めに,看護職員に「自己目標管理シート」を配布している。このシートには,①業務目標と個人目標,②具体的な実施計画,③自己・師長・上司の中間評価,最終評価,④新たな課題,を書き込み1年間その目標に向かって取り組むことになっている。しかし,有効に活用できてないのではないかと感じ,2009(平成21)年,本研究に取り組む前に透析室看護師を対象として質問紙調査を行なったところ,目標達成度,満足感,達成感はそれぞれ50%に満たなかった。また,前年度までの透析室看護目標においては,年度初めに師長がスタッフを3グループに分けて担当することになっていたが,目標達成できないまま翌年もまた同じ目標が掲げられている現状が続いたため,目標管理を効果的に行ないたいと考えた。
看護部の目標管理における先行研究では,ポートフォリオ注)を活用したプロジェクト手法によって部署の活性化,モチベーションの高まり,自己啓発の積極性などの効果がみられている2)。プロジェクト手法とは,鈴木3,4)が提唱した学習方法で,ビジョンと目標を明確にし,そのプロセスには,目標管理シートの活用,ポートフォリオの活用,コーチング手法などが組み込まれ,戦略的に目標に達していく手法である(図1)。そこで,透析室看護目標の達成に,プロジェクト手法を用いることによって,目標管理を効果的に行なうことができるのではないかと考え,従来の方法と比較検証することにした。
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