連載 タイ・シケウ村より[村人の健康づくりをめざして]・3
動き出した下痢プロジェクト
工藤 芙美子
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pp.558-559
発行日 1992年6月1日
Published Date 1992/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900658
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SHAREズペシャルチームプロジェクトの開始
県のプロジェクトは9月に会議が行なわれ,シケウ村では34人のヘルスボランティアが選ばれ,11月中旬より彼らの訓練が始まった.県のプロジェクトはトップ・ダウン方式だが,私は住民主体のスペシャルチームを作ることにした.2か月ほど観察した結果,SHAREが支援する下痢プロジェクトチームとして私は,村の端に位置する15軒ほどの部落を対象として選んだ.この部落は村で最も下痢が頻発する地区であり,下痢プロジェクトチームを組むのに,最適と思ったからである.
15軒の人たちは,10〜20年ほど前,隣のウボン県やロイエット県から移ってきた.ほとんどの人が土地を持たず,他の家の手伝いをして日銭を稼いでいる.この地区は,“シケウ村のスラム”と呼ばれ,多くの家では貧しくて雨水をためる大きなカメはなく,小さなカメに井戸水を入れて生水のまま飲んでいる.栄養不良の子供たちも多い.
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