連載 職員の安心を支える病院デカ・7
事件化できない迷惑行為をどうするか
齋藤 忠利
1
1岩手医科大学附属病院
pp.580
発行日 2012年7月10日
Published Date 2012/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102485
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A男は,生活保護で暮らし,救急をはじめ当院のあらゆる診療科を渡り歩き,多数の病気を自己申告するが,診療結果では目立った病気もなく,自由に動ける体力もあり,仕事もしていないため暇をもてあましている者である。精神科での受診結果では,多少の躁状態は認められるものの,根本は「人格障害」との診断を受けていた。
そのA男が,交通事故に遭い,当院で治療を行なった。その際,事務のミスが2つあった。1つは損害保険会社に請求すべき治療費を,生活保護費受給者という思い込みから市役所に請求してしまったこと。1つは,損害保険会社への請求に際し,当該請求には関係のない,以前別の診療科を受診した際のレセプト病名が記載された診療報酬明細書を送付してしまったこと。この事実を知ったA男は,頻繁に窓口を訪れ「個人情報の漏洩」「身に覚えのない病名が付いている」「院長を出せ」などと抗議,大量の質問状を提出しての回答要求,院内各所への抗議文送付,看護師などの対応へのクレーム,医師・相談員などへの文書での個人攻撃,さらに,保健所・東北厚生局・厚生労働省にも文書を送り付けるなどの迷惑行為を行なうようになった。
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