医療紛争の事例から学ぶ・10【最終回】
迷惑患者への対応
蒔田 覚
1
1蒔田法律事務所
pp.784-787
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203656
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はじめに
医師の働き方改革を実現するためのタスク・シフト/シェアを検討する過程で,法令改正により臨床検査技師が“診療の補助”として行える“生理学的検査”の範囲が拡大した.その結果,臨床検査技師として患者やその家族と接触する機会が増え,トラブルに巻き込まれる機会も多くなることが予想される.
これまでの医療紛争の中心は医療機関や医師であったが,臨床検査技師も他人事では済まされないであろう.特に,暴言を吐いたり暴力を振るったりする迷惑患者への対応は臨床検査技師が日常業務を行ううえでも,当然に身に付けねばならない知識である.
そこで,連載の最終回として,迷惑患者の診療拒否が問題となった近年の裁判例〔(令和4年8月8日東京地方裁判所判決〕1)を紹介することとした.患者は,診療拒否を伝達した医療機関の医事課職員に対して150万円の損害賠償を求めるとともに,医療機関に対して従来の治療行為の実施を求めたが,医事課職員に対する損害賠償請求は棄却,医療機関に対する請求は,特定が不十分であるとして却下となった.
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