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病棟でばかり働いていると,目の前の急性期の問題を解決することで精いっぱいで,患者の治療後の生活を具体的に考える余裕があまりない。ふと退院した患者を思い出したりするとその患者が合併症や再発で再入院してくるというジンクスもあり,便りがないのはよい便りと,無責任なふりができるのは病棟勤務者の特権である。
そうはいっても,がん医療に携わる者として患者の退院後の生活に全く無関心でもいられない。骨髄移植科ではNPが患者の退院時に退院後の外来受診日や訪問看護,訪問理学・作業療法,ホームヘルパーなどをアレンジするとともに,呼吸機能検査とサバイバーシップ診療の予約をすることになっている。私が勤めているがんセンターにはサバイバーシップ・プログラムという部署があり1),12人のNPががんの部位ごとにサバイバーシップ診療を行なっている。サバイバーシップ診療の内容は異なるだろうが,2006年以降はIOM(Institute of Medicine:医学研究所)のFrom Cancer Patient to Cancer Survivor:Lost in Transition(がん患者からがんサバイバーへ:過渡期に迷って)というレポートの提言2)をもとに,基本的に再発のモニタ,晩期障害のモニタ・マネジメント,別の原発腫瘍のスクリーニング,乳房自己触診や精巣自己触診指導,皮膚アセスメント,禁煙指導,骨粗鬆症スクリーニング,歯科保健,運動指導,予防接種,抑うつのスクリーニングを行なっているそうである。精神的・社会的ケアも行なうが,具体的な問題についてはソーシャル・ワーカー(LCSW:Licensed Clinical Social Worker)が対応する。サポート・グループの運営にはナースも関わるが,LCSWが中心となって行なっている。
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