巻頭座談会 ひとつうえの看護の力CNS2
がん看護専門看護師編
診療所で地域全体のリソースとして看護力のボトムアップを図る
宇野 さつき
1
,
新国 雅史
1
,
山田 雅子
2,3
1新国内科医院
2聖路加看護大学看護実践開発研究センター
3日本専門看護師協議会
pp.445-451
発行日 2012年6月10日
Published Date 2012/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102451
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わが国では少子超高齢社会のなかで今後さらに医療を必要とする人口が爆発的に増大することが予測され,医療界,経済界などから看護師の裁量権の拡大に関する期待が寄せられている。
その動きのなかで,米国などのAdvanced nurse practitioner(高度実践看護師)のなかでもNurse PractitionerあるいはPhysician's Assistantといった名称で認定を受けた,限られた範囲ではあるが薬剤の処方権をもったり,一部の診療行為を実施する看護職への関心が高まっている。日本での高度実践看護師としては,日本看護協会が認定する専門看護師をまず挙げることができる。
高度実践看護師は,薬剤の処方や医師が行なうべき医行為の実施を表立って実施してはいないが,協働している医師との信頼関係のなかにおいて,一般の看護師よりも広い範囲の看護業務を行なっている実態がある。専門看護師は自らが高い実践力をもつばかりでなく,看護師への教育にも責任を負っており,狭い範囲で仕事をしている看護師に対しては,アセスメント力や患者・家族への介入方法について教育をし,その裁量範囲を拡大していけるよう関わっている。
今後,医師ー看護師間の役割分担の見直しを行なううえでは,専門看護師の実践を今だからこそ再考し,その実態をよく知ったうえで看護師の裁量権の拡大を論ずる必要があろう。
本企画では,現役の専門看護師が,その裁量範囲について実際に協働している医師とともに語り,専門看護師の仕事の実態に迫ることを意図している。
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