連載 私が小児看護に魅かれる理由・1【新連載】
いのちのそばで想うこと(1)
白土 陽子
1
1東京都立北療育医療センター
pp.76-77
発行日 1993年1月1日
Published Date 1993/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904185
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小児看護に夢を抱いた頃
「十年一昔」とすれば,もう二昔も前になってしまう.3年間の看護学生としての生活を終え,就職を決めなければならない時,考え遍いて小児看護に夢を抱くことにした.
小児科実習の思い出といえば,酸素テントの中に横たわる白血病末期の子どもと,その傍らで見守る若い母親の姿が目に浮かぶ.子どもの体力は日に日に衰えていった.そんな中,「今日はどんな話をしたんだろう」「苦しまないでいるだろうか」などと考えながら実習場所に向かうと,その子がいたはずの部屋はガランとして,誰もいなくなっている.心のどこかでは,その母親の悲しみを目にすることがなかったことに安堵している.そんな光景が,不思議と同じ個室で何度も繰り返された.
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