特集 医療安全管理者として働くということ
医療安全管理者としての役割を担うことの責任とやりがい
原 桂
1
1東京慈恵会医科大学附属青戸病院 医療安全推進室
pp.1141-1144
発行日 2010年12月10日
Published Date 2010/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101901
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はじめに
医療機関における医療安全管理体制の強化として,2002(平成14)年10月,改正医療法施行規則が施行された。これによりすべての病院と有床診療所に,①医療安全管理指針,②医療安全管理委員会,③職員研修,④事故報告等改善方策からなる安全管理体制が義務づけられた。
東京慈恵会医科大学附属青戸病院(以下,当院)においては,2000(平成12)年にリスクマネジメント委員会が設立され,教職員への教育研修および啓蒙活動を開始し,翌年に各部署に医療安全を担当するリスクマネジャーを配置し,リスクマネジメント組織体制を立ち上げ,医療安全活動への意識改革をめざした。
しかし,2004(平成16)年に起きた医療事故によって,組織の医療安全管理体制が根底から覆るほどの危機に陥った。組織を挙げて事故の解明に全力で取り組むなか,現場では手術関連システム・体制の一つひとつを見直し検討し改善を進めた。慈恵医大全体が一丸となって医療安全管理体制の強化・再構築を図ることを最優先として組織改革に取り組んだ。当院では,翌年に医療安全管理室を設立し,初代の室長・医療安全管理者が奮戦し安全管理体制の基盤を築いてきた。
私は,2007(平成19)年4月に医療安全管理者として任命を受け,今年で4年目となった。今回「医療安全管理者として働くということ」という特集での執筆依頼をいただき,医療安全管理者である自分の役割をどのように果たすのか試行錯誤するなかで,これまでに実践してきた活動や他職種との協働活動で成果につながった取り組みなどを振り返り,組織のなかで役割を担っていくことでのやりがいと課題を述べてみたい。
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