連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・56
癒す人と癒される人の逆転―『ぼくが まもって あげるね』『わたしの病院,犬がくるの』
柳田 邦男
pp.544-545
発行日 2010年6月10日
Published Date 2010/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101772
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私の長男ケンが幼かった頃,寝る時にはいつもこぐまのぬいぐるみ「ベアちゃん」を,添い寝するかのように枕元に置いていた。おそらくどんな子もそうなのだろうが,たとえ母親が添い寝をしてあげても,大好きなぬいぐるみを片腕で抱いていないと,心が落ち着かなかったのだろう。旅行に行く時も離さなかった。
アメリカの絵本作家マーサ・アレクサンダー作の『ぼくが まもって あげるね』は,まさしく少年のぼくとこぐまのぬいぐるみ「テディ」の,心の支え合いの物語だ。ぼくはテディをだっこして,森の中へと探検に出かける。
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