連載 看護のアイデア・2
委託職員向け安全ポケット
髙橋 知子
1
,
本山 和子
1
,
山内 桂子
1
1東京海上日動メディカルサービス株式会社(TMS)メディカルリスクマネジメント室
pp.520-521
発行日 2010年6月10日
Published Date 2010/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101764
- 販売していません
- 文献概要
医療安全教育や情報提供を受ける機会の少ない外部職員へ
近年,看護の現場で,患者安全の視点からも助手やクラーク,搬送や清掃スタッフなどとの協働がますます必要になってきている。病院全体を見渡しても,さまざまな雇用形態のスタッフが,患者安全に直接・間接に影響する業務を担っている。業務の外部委託が進むなか,特に委託企業に雇用された職員(以下,委託職員)も少なくない。患者の安全を確保するためには,これら委託職員の一人ひとりが,各自の業務に関する知識やスキルをもつだけでなく,医療安全に関する基礎的知識を習得するとともに病院のルールを理解し遵守する必要がある。しかし,委託職員や短時間勤務の非正規雇用スタッフなどは,医療安全の教育や情報提供を受ける機会が少ないのが現状である。また,従来,これらの職員が医療安全に関してどのような基礎知識を保持しておくべきかについては十分検討されてこなかった。
筆者らは,日頃,企業に所属し,医療安全に関する情報収集や研究を行ないながら,医療機関や介護施設の事故防止・安全管理に関するコンサルティングや研修の企画・提供を行なっている。そして,各医療機関内のインシデントや事故の情報に接したり,リスクマネジャーの方々に支援を行なったりしているなかで,全国の医療機関が共通して上記のような課題を抱えていることがわかった。さらに,病院の業務を受託している複数の企業の担当者と意見交換をする機会があり,職員の入れ替わりが多く,事前の教育にまとまった時間を割くことが難しい現状が把握できた。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.