特集 医療安全管理者の働き方とその支援
いろいろな医療安全管理者のかたち―その現状とこれからの課題
髙橋 知子
1,2
,
本山 和子
1
,
玉利 英子
1
1東京海上日動メディカルサービス株式会社メディカルリスクマネジメント室
2東京大学大学院医学系研究科医療安全管理学講座
pp.1062-1067
発行日 2008年12月10日
Published Date 2008/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101367
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「医療安全管理者」という名称がはじめて使用されたのは,2002(平成14)年4月に厚生労働省が策定した「医療安全推進総合対策」においてである。その後,数回の医療法施行規則の一部改正を経るなかで,特定機能病院などでは専任の医療安全管理者の配置が求められるようになった。さらに2006(平成18)年の診療報酬改定では,専従の医療安全管理者が配置されるなどの組織的な医療安全対策を実施している保険医療機関に対する加算として,「医療安全対策加算」が新設され,2007(平成19)年施行の第5次改正医療法ではすべての医療機関における医療安全管理体制が義務化された。
東京海上日動メディカルサービス(以下,当社)では,1998(平成10)年のメディカルリスクマネジメント室開設以来,医療機関が医療安全管理体制を構築するためのサポートを行なってきた。当初は医療安全研修会への講師派遣が主な業務であったが,「医療安全管理者」が多くの医療機関内に配置されるようになってからは,医療安全対策委員会等へ第三者委員として出席し,ともに事例分析を行なったり,医療安全管理者の支援として院内ラウンドに同行したりという業務が増加した。多くの医療安全管理者と出会うなかで,ひと言で「医療安全管理者」といっても,医療機関ごとにその役割や働き方はさまざまであることを実感している。
本稿では,いろいろな「医療安全管理者」たちの現状と必要な支援について考え,今後の課題を示す。
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