調査報告
日比EPA締結後のフィリピンにおける看護の情勢・政策の現状―フィリピン人看護師の国際移動を支える社会システムの現状と日本進出の可能性(第2報)
朝倉 京子
1
,
朝倉 隆司
2
,
平野 裕子
3
,
兵藤 智佳
4
1東北大学大学院医学系研究科保健学専攻
2東京学芸大学教育学部養護教育講座
3九州大学大学院医学系研究院保健学部門
4早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター
pp.516-519
発行日 2010年6月10日
Published Date 2010/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101763
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調査目的
日本政府は2006(平成18)年にフィリピンとの2国間の経済連携協定(Economic Partnership Agreement;以下,EPA)を締結し,引き続きインドネシアとのEPAも締結した。これにより,2008(平成20)年には208人のインドネシア人(104人の看護師候補者と104人の介護福祉士候補者)が,2009(平成21)年には合計362人のインドネシア人とフィリピン人(173人の看護師候補者と189人の介護福祉士候補者)が来日した。
フィリピン人は歴史的に移動を繰り返し,20世紀以降は海外での労働とそれに伴う母国への送金が国の経済を支えた1)。現在,フィリピンから海外に移動する労働者には医療従事者などの専門職が多く含まれ,その圧倒的多数を占めるのが看護師である。海外労働に出るフィリピン人看護師は増加の一途をたどり,1992(平成4)年から2003(平成15)年までの12年間で約8万8000人の看護師が海外に出ている2)。
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