連載 王様の耳はパンの耳――この国の看護のゆくえ・8
医療制度改革のゆくえ―看護を取り巻く環境はどのように変わるのか
大串 正樹
1
,
北浦 暁子
2
1西武文理大学 看護政策研究所
2NKN
pp.74-75
発行日 2010年1月10日
Published Date 2010/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101664
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- 文献概要
日本の重要政策課題として,筆頭にあげられるのは財政赤字の問題です。わが国は,予算が不足すると,そのたびに国債などを発行してやりくりしてきました。しかし,膨らんだ借金を返済するために,新たな借金を重ね,結果的に2009(平成21)年度末の日本の借金(国と地方の長期債務残高)は,約804兆円に達する見込みで,プライマリバランスの黒字化にはほど遠い状況です。これは,対GDP(国内総生産)比にして158%に相当します。国の公債残高だけでも,税収の10年分をはるかに越えていることを鑑みれば,財政赤字の問題が,いかに深刻かが理解できると思います。そして,この問題の深刻さは,政権が変わったところでにわかに解決するものではありません。
もう少し細かく,国の歳出の内訳を見ると,大きく三つに分けられます。一つが国債費です。家計にたとえると借金の返済と利払いに当たります。これは意図しなくても使い道の決まった予算となります。その次が地方交付税交付金などで,これは田舎への仕送りに相当します。これは,国債費と併せて4割以上を占めている予算で,地域の実情を考えると削減することが難しい経費の一つです。そして,これら以外の第三の歳出を一般歳出とよびます。財政改革の視線も必然的にここに集中します。
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