連載 看護と医療政策を考えるヒント・8
データの読み方と考え方―医療統計データと医療政策
松村 啓史
1,2,3
1テルモ株式会社
2ホスピタルカンパニー統轄兼研究開発本部
3厚生労働省中央社会保険医療協議会
pp.1087
発行日 2009年11月10日
Published Date 2009/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101624
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医療統計データにおいて,次のようなことが頻繁に示されます。
①このままでは国民医療費は2020年度には60兆円を超える。
②人口に占める65歳以上の比率は2020年頃には30%を超える。
③日本は医師や医療スタッフの不足により医療崩壊は目前。
④入院日数の長さと患者の受診回数の多さが非効率を生んでいる。
⑤特に地方での医師不足は深刻。
これらのデータは国民の不安を大いにあおり,その不安が政府へ短期対応策を迫らせます。その結果,当初は抜本対策と銘打った対策は,得てして短期政策の五月雨式のパッチワーク的なものになってしまうのです。
上記の①②は調査に基づいた事実だとしても,果たして③④⑤については一面的なデータで判断してよいかどうか疑問です。そこで今回は③④⑤について少し掘り下げてみましょう。
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