連載 スクラブナース4年生・46
ちょっと悔しい話
鈴木 美穂
pp.181
発行日 2009年3月10日
Published Date 2009/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101426
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悔しいことに,昨年アメリカの看護大学を卒業し,OPT*でニューヨーク市内の大学病院で働いていた日本人ナースが,OPT期間終了前に永住権が得られず,帰国しなければならなくなった。彼女のようなケースは珍しいことではなく,それでもアメリカに留まりたいと,進学して学生として合法的な滞在を続ける人もいる。こうした道を選ぶ人のなかには,在米は合法であっても,金銭的に厳しいからと違法で働いている人も少なくない。彼女はそれはしたくないと帰国を決めた。
彼女は日本の看護師の免許を取って日本で働きながら永住権が取れるのを待つつもりだと言っていた。そう決心するまでにはいろいろな心理的葛藤があったようで,帰国するにあたり,日本語の医学用語は分らないとか,日本には「IV(点滴)ポンプはないんでしょ?」とか「医師の指示がないと看護師は何もできないんでしょ?」とか「がん看護を続けていきたいけど,がん専門医はいないんでしょ?」などと,どこか日本の医療を蔑むようなことを言って不安を表現していた。
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