特集 自治体病院をめぐる課題と活性化への道
日本一の赤字病院からの再生―坂出市立病院は健全経営をいかに推進しているか
中村 洋之
1
1坂出市立病院診療部
pp.988-993
発行日 2008年11月10日
Published Date 2008/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101345
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「全職員参加の病院運営」をスローガンに
坂出市立病院(以下,当院)はかつて,約25億円の不良債務を抱え,しかも,その債務比率が125%を超えるという,日本一経営状態の悪い自治体病院として,1991(平成3)年に旧自治省(現総務省)より廃止勧告を受け,地域住民からの信頼も失っていた。この危機的状況から脱却するために,病院では塩谷泰一院長(当時)の下,基本理念を「市民が安心して暮らせ,心の支えとなる病院に」と定め,「全職員参加の病院運営」をスローガンに,職員の意識改革をはじめとした数々の取り組みが行なわれてきた。
その結果,1993(平成5)年度以降,医業収支黒字決算を達成し,1998(平成10)年度に不良債務は解消した。しかし,2005(平成17)年度からは繰入金が「0円」となった上に,病院開設者(坂出市長)からは,「赤字になったら必ずつぶす」と宣告されている1)。このような厳しい環境でも黒字経営を継続しており,2008(平成20)年には累積欠損金も解消できた。自治体病院の公共性を保ちつつ黒字経営を継続するための当院での取り組みについて報告する。
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