特集 自治体病院をめぐる課題と活性化への道
公立病院改革ガイドラインと対応策
高山 亨子
1
,
木村 拓
1
1ベリングポイント株式会社公共事業部
pp.978-987
発行日 2008年11月10日
Published Date 2008/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101344
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
公立病院を取り巻く環境
●地域で見直しが必要な公立病院経営
最近,公立病院経営の危機的状況について報道などで社会的問題として取り上げられるようになり,病院関係者だけでなく国民にも認識されるようになってきた(図1)。公立病院の存続の危機的状況は,今や自治体や病院だけの問題として捉えるのではなく,地域・住民として地域医療をどうしていくかという課題や問題点を提起してくれている側面もある。
公立病院経営はどのような危機的状況なのか確認すると,総務省地方公営企業年鑑では,公立病院の経営状況は悪化の一途をたどり,2006(平成18)年度において全体の74%が赤字病院となり,会計繰入金は7041億円にも上るとされている。また一般会計からの繰入金を除くと,約9割が経常損失を計上しているとされている(総務省平成18年度地方公営企業年鑑)。今後自治体の決算は,病院を含む連結決済となる。少子高齢化がさらに進む社会構造のなかで,旧態依然の公立病院経営・医療提供体制を続けていれば,病院単体の問題だけでなく,自治体の財政ひっ迫まで引き起こすことになり,地域として早急に取り組まなければならない問題となっている。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.