Principle 病院経営・2
健全経営とは何か(1)
谷田 一久
1
1広島国際大学医療福祉学部医療経営学科
pp.176-177
発行日 1999年2月1日
Published Date 1999/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902633
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医療を取り巻く経営環境の変化が著しい昨今,経営者あるいは開設者は病院の収支について相当敏感になっているようだ.特に国公立病院の開設者に至っては,自らの病院の使命に優先して収支を問うといったケースがよくみられる.医療機関経営を院長に一任することで開設者としての役割を果たしてこなかったことのつけが今になって回ってきたという感じである.仕事柄,国公立病院の経営陣と接することが多いのだが,十人中八九の人が採算性,効率性,経済性というカネの呪縛に苛まれているようだ.
その一方で,地域の情勢を見極めながら,戦略的に事業を展開している民間病院が存在している.そのような病院の経営者や開設者は確かに採算性,効率性,経済性といった言葉を使うが,必ずしもそれらが第一優先順位となってはいない.彼らは常に顧客としての患者,すなわち地域住民のほうを向いており,住民たちが制度改革の中でどのような行動を起こすのかを必死になって見極めようとしている.さらに,限られた,本当に限られた資金や人的資源を駆使して,自らの夢と現実との摺り合わせをしようとしている.そのような民間病院と接するにつけ,どちらが公でどちらが民か理解に苦しむ.
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