連載 訪問看護 時事刻々
今月の話題 公立病院改革プログラム
石田 昌宏
pp.1021
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100965
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在宅医療・福祉の分野ではコムスンの破たんをきっかけに営利企業による医療福祉の問題がクローズアップされているが,病院に関しては公立病院の在り方について議論がすすんでいる。
公立病院の経営状況がよくないという話を頻繁に聞く。2006年度は約8割が赤字を計上しており,経常損失額は2100億円にのぼっている。全国の公立病院ごとの経営状況がわかる“地方公営企業年鑑”によると,医業収支比率が100%を超える(つまり黒字)病院は大きな市にある中心的な病院である場合が多い。過疎地の病院や精神病院には40~60%,つまり支出の半分程度しか医業で稼げていないところがあり,職員の人件費の基本給分すら稼いでいない病院もある。このような赤字分は,結局は市町村の一般会計からの繰り入れなどが必要で,それでようやく経営が成り立つ。もちろん民間病院が進出しない地域にあったり,特別な政策医療を行なうことを求められたりと,採算が悪くなるのはやむを得ない理由もある。しかし,給与水準が同じ地域の民間病院とくらべ高すぎるのではないかなどの意見もあり,やはり経営の見直しは必要だ。
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