NAレポート
―医療版事故調・緊急公開シンポジウム―「医療事故の再発防止,医療と患者の信頼関係の確立をめざして」
本誌編集室
pp.959
発行日 2008年10月10日
Published Date 2008/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101338
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去る8月4日,千代田区駿河台の明治大学アカデミーホールにて,医療安全調査委員会(以下,委員会)設置に向けた厚生労働省作成の大綱案発表を受けて「医療版事故調:緊急公開シンポジウム」が開催された。出席したシンポジストは,佐原康之氏(厚労省総務課医療安全推進室長),古川俊治氏(自民党参議院議員,弁護士,医師),勝村久司氏(患者の視点で医療安全を考える連絡協議会準備会),瀬尾憲正氏(自治医科大学教授),清水真氏(明治大学法科大学院刑事法学教授),木下正一郎氏(医療問題弁護団),鈴木利廣氏(すずかけ法律事務所)の7名。
まず佐原氏が,委員会設置に至るまでの経緯と背景,そして大網案に先立つ第3次試案と大綱案の関係について説明。この大綱案は法律に関する項目だけをピックアップしたあくまで法令としての具体的なイメージだと語り,加えてここで強調したのは以下の3点。まず1点目が,医療事故発生時に医療機関から患者・家族へ事故の経緯や原因などについて十分な説明がなされることの重要性。2点目は,日常診療の時点での医療従事者・患者間の十分な関係構築のための対話の促進。この点については,こうした対応を専門的に行なう人材の配置についても付言した。3点目は調査委員会と捜査機関との関係,なかでも刑事手続の対象を故意や重大な過失,悪質な事例にのみ事実上限定する,というものである。
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