特集 事故後の対応を考える
安全・安心・納得の医療をふまえて
事故再発防止に取り組んで―胃チューブ誤挿入事故の経験より
高橋 厚子
1
1神奈川県立足柄上病院
pp.147-152
発行日 2007年2月10日
Published Date 2007/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100665
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はじめに
神奈川県立足柄上病院(以下,当院)は,県の西部に位置する地域の中核的な一般病院でベッド数296床,診療科17科,職員数359名(うち看護職員221名)の中規模病院である。
2004(平成16)年8月,長期入院中の高齢の患者に,看護師が胃チューブを挿入した際,肺に誤挿入したことに気づかないまま栄養剤を注入し,そのため患者が肺炎を併発し死亡するという事故が発生した。患者とご家族に対して心からお詫びし,職員が一丸となって事故の事後対応に迅速・的確に当たるために,3つの基本方針を決定した。
(1) 「医療事故」として対処し,事故の原因および経緯を正確に把握し,包み隠さず公表すること
(2) 患者のご遺族に対し誠意をもって対応すること
(3) 事故の原因,要因,背景に至るまでのすべてについて調査,検証して事故防止対策を策定し,実施すること
当院での事故後,新聞報道などによれば他県でも同様の事故が発生している。このような事故をいかにして防止するか,さらに不幸にして事故が発生した場合,いかに対応するかについて,看護部門の責任者として取り組んだこと,また病院全体として対応したことを,反省も含めて,本稿で紹介させていただく。
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