連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・39
雨の降る日は考える日にしよう―『かんがえるアルバート ぼくのいるところ』『やかましい!』
柳田 邦男
pp.956-957
発行日 2008年10月10日
Published Date 2008/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101337
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人生でだいじなこと――つまり,心のもち方とか生き方とか生きる意味,あるいは生きるのを支えるものとか愛や心の絆,さらには自分なりの人生の目標とか――そういうだいじなことは,すべて絵本の中で語られている。私はさまざまな絵本を読んできて,そう思っている。
もちろん哲学書や教養書のように,そういう人生論について,系統的にたくさんの言葉を使って論じているわけではない。絵本は子どもでもわかるような簡潔で平易な言葉と絵で,小さな物語を表現しているだけなのだが,ゆっくりと声に出して繰り返し読んでいくと,語っている「だいじなこと」がじわっと伝わってくる。そんな深い語りかけをしてくれる新作絵本に出会うたびに,絵本というジャンルは未開拓の果てしない大地の広がる世界なのだと,いつも思う。
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