特集 医療安全のさらなる推進に向けて
医療事故防止に向けて―原因究明と再発防止
後 信
1
1公益財団法人日本医療機能評価機構
pp.544-547
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102785
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はじめに
良質な医療の提供に当たり,特に安全を重視する考え方が,最近10年あまりの間に国内外で広がってきた.1999年には大学病院で発生した手術を受ける患者の取り違え事故が発生し,また,別の病院では消毒薬を静脈に注入した事故が発生した.2000年には,大学病院で人工呼吸器の加湿器へのエタノール誤注入や,別の大学病院では内服薬を静脈注射した医療事故が発生し,社会的な問題となった.このような背景があり,社会から医療の安全を求める要請が強まったことから,医療界では医療事故やヒヤリ・ハット事例に学ぶ取り組みなど,一層の医療安全推進の取り組みがなされるようになった.同時に,不可避的に発生する有害事象については,紛争の早期解決を図るために,まず産科領域を対象として無過失補償制度が導入され運用されている.
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