増刊号特集 ワーク・ライフ・バランスを実現し,成果を上げるマネジメント―多様な働き方と人事制度に焦点をあてて
[急性期病院]―東京北社会保険病院―できることを誠実に―ライフスタイルに沿ったキャリアアップを支援して
川合 榮子
1
1東京北社会保険病院看護部
pp.721-724
発行日 2008年7月26日
Published Date 2008/7/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101275
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はじめに
東京北社会保険病院(以下,当院)は,2004(平成16)年開設の280床の一般病院です。
5年前は,開設に向けて人員ゼロからの出発だったので,医師の採用状況を見ながら,集客率を予想しつつ,常勤看護師の採用を行なっていました。しかし,常勤看護師が思うように集まらず,短時間勤務が可能な午前中の外来をパートタイムの看護師に担ってもらうことにしました。
この開設時や看護基準変更時など,当院も看護師の確保には相当苦労しました。そのなかで培ったパート職員の採用,フレックスタイムや短時間労働の導入などが,現在の看護師の定着につながっているので紹介したいと思います。
まず私の体験から――。30年前,私が妊娠したことを上司に告げると,上司は迷惑そうに「夜勤はできないわね,外来に行く?」と言いました。「いつか一人前に働くから,待っていてほしい」と,当時子育て中のスタッフみんなが思っていました。
このような周囲に迷惑をかけるという負い目が,潜在看護師を増やしていくことにつながっているのだと思います。また,幼少期の集団生活による感染症罹患でたびたび休暇を取らざるを得ないことで,仕事への意欲も失ってしまうのではないでしょうか。さらに,昨今の医療事故報道などが仕事に向かう気持ちを萎えさせていることもあるでしょう。しかし,いまは医療に関わっていない潜在看護師のなかにも,いつかまた看護師として社会に貢献したいと思っている人は少なくないと思います。
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