特別記事
看護管理の実践報告を発表してみよう
真下 綾子
1
1東京大学大学院医学系研究科
pp.492-495
発行日 2008年6月10日
Published Date 2008/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101224
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はじめに
「毎日業務に追われてゆっくり考える時間も振り返る余裕もないし,書くことにも慣れていないから大変です!」。病院で働いている看護師長さんたちを対象とした看護管理者研修を受け持ったときに聞かれた訴えである。
職能団体が行なっていたこの看護管理者研修は,組織論や看護経営,看護情報などの科目がオムニバス形式で構成されていて,科目ごとにレポートの提出が必要であった。さらに,受講者は研修中に自院の看護管理実践計画を立案し,1年後にその実践報告を「看護管理実践報告書」にまとめて提出することが課せられていた。この報告書で一定の評価基準を満たした者のみが,研修コースを「修了」することができた。しかし,せっかく1年間の「看護実践報告書」をまとめても,受講者がそれを雑誌に投稿したり,学会で発表することはほとんどなかった。
受講者は研修中には看護管理実践計画を立案,実施し,報告書にまとめることによって,自らの経験を形式知に変換することができた。しかし,その後は毎日の業務をこなすことに流され,研修時のように自分自身の実践を振り返ることが難しくなってきているのではないだろうか。
そんな現状を変えるために,現在自院で実践しているプロジェクトを同じような問題に直面している方々と共有できるように,実践報告にまとめ雑誌や学会で発表してみてはどうだろう。それによって,自分自身の看護管理を振り返ることにもなり,自院の看護の質向上につながるのではないだろうか。
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