特集 きみたちは麻酔界をどうするのか
Choosing Wisely Campaignがもたらす未来—価値・認知を高めてWin-Win-Win
小原 崇一郎
1
Soichiro OBARA
1
1帝京大学大学院 公衆衛生学研究科
pp.58-64
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320010058
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はじめに
かつて,こう諭す麻酔科医がいました。「麻酔科医はキャバクラ嬢やホストと一緒だからね。お客さんによい気分になって帰ってもらおうと彼女たちや彼らが努力するのと同じく,麻酔科医は外科医にいい気分で手術を終えてもらわなければならない」。なるほど,あながち間違いではありません。ただ,とてもタイセツなことが欠けている気がします。果たしてそれは何でしょうか?
Choosing Wisely Campaign(CWC)は,2012年に米国内科専門医機構American Board of Internal Medicine(ABIM)財団のイニシアチブで開始され,そのエッセンスは不必要な医学的検査/治療/処置を回避して医療リソースの過剰使用を抑制し,患者と医療従事者との対話を促進することにあります。全米のほとんどの専門医学会がそれぞれ,ABIM財団の呼びかけに応じて「有限の医療資源を適正配置する」観点から見直すべき主な五つの診療行為を「トップ5リスト(top 5 lists)」として公表したことから大きな注目を集めました。
本稿では,さまざまな領域のCWCのこれまでについてまとめ,CWCが日本の周術期医療で展開・実践されたらどのような未来が期待できるのかを探ります。
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