特集 経験者の受け入れと定着
中途採用看護師の定着と活用のために
北浦 暁子
,
渋谷 美香
1
1社団法人日本看護協会看護教育研究センター
pp.94-99
発行日 2008年2月10日
Published Date 2008/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101129
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はじめに
看護現場における人的資源の活用は,2006(平成18)年度診療報酬改定を契機として全国的に高まる看護師確保困難の声のなかで,いっそうその重要性を増している。そのなかでも,新人看護師の育成に対する取り組みには,「組織を挙げた支援をめざした教育体制の抜本的な見直し」など,精力的な活動が数多くみられる。
その一方で,長いブランクを経た潜在看護師やいわゆる第二新卒者などを含み,多様化の度合いを増す中途採用看護師に対して,十分に対応可能な院内教育体制を有する施設は全体のごく一部である。
とりわけ現状では,十分な教育体制が整備された施設に看護師が集中する一方で,4月予定の採用人員の確保がままならない施設も多く,その二極化傾向が是正される気配はない。予定採用者の確保という消極的理由から,多様な背景の中途採用看護師を採用せざるを得ない施設は,限られた資源で何とか採用人員の定着と能力活用をめざす。しかし,実際にはなかなかうまくいかないという声がさまざまなところで聞かれている。
筆者らは,ともに看護系大学での教育経験を経て,医療施設の看護部門における人材育成コンサルティングや,看護管理・継続教育領域を中心とした教育研修に携わってきた。本稿では,これらの経験にもとづいて,中途採用看護師に対する定着促進と能力開発の具体的方向性を,個人のキャリアとモチベーションマネジメントの視点から捉えることを試みるものである。
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